AIDA


あらすじ

   エジプトの英雄ラダメスは美しい奴隷のアイーダに惹かれ、彼女を助けるためにエジプト王ファラオの娘アムネリスの侍女にする。最初は反発していたアイーダもラダメスの愛情を次第に受けれるようになるが、ラダメスの婚約者でもあるアムネリスやラダメスの父親達が、二人の仲を邪魔しようとする。そんな中、エジプトは敵国ヌビア軍に勝利し、ヌビアの王を捕虜とすることに成功する。しかし実はヌビアの王女であるアイーダは、捕らえられた父王の姿を見て、動揺する。父を逃がしたアイーダはラダメスと共に、裏切りの罪で死刑を宣告されてしまう。



感想

   ついに来た。これを待ってたんです。この初めて新しいものに出会った感動。再びこれを味わうことができるなんて。最近は有名なミュージカルはほとんど観てしまったので、だいたい同じ物を二回、三回とみるしかなくなっていました。だから初めて観るミュージカルが素晴らしくて、目からうろこが落ちるような感動が最近全然なかったのですが、ついに今日訪れました。この「AIDA」はすばらしかった。

   まず驚いたのは冒頭。始めは現代の博物館が舞台で、そこに棺らしきものと、王女の像みたいなものがあって、すると突然王女の像が動き出して、歌い出す。そうかと思ったら、またたく間にセットが変わり、舞台は古代エジプトの世界へ。こういう演出は映画でよく見られて、映像だからこそできる演出なのに、それを舞台でやってしまうとは。さすがディズニー、あんな巨大なセットを作ってしまうなんて。そうそう、この「AIDA」はディズニーのミュージカルなんです。「美女と野獣」、「ライオンキング」に続いて、またもやってくれましたね。ディズニーは。

   そして曲のほうも最初は古代エジプトだから、壮大なクラシックな感じのオーケストラかと思ったら、一曲目の途中で突然曲調が変わり、ロックになりました。なんとロックミュージカルなんですね。RENTを観てから、ロックミュージカルにはまった僕としてはうれしい限り。

   そして更に更に更にうれし、驚いたことがありました。英雄ラダメス役の人、どっかで見たことある顔で、声も聞き覚えあったんです。一幕の間ずっと誰だろうと思いながら観てて、休憩の時、名前を見たら、アダム・パスカル。この名前もなんか聞いたことあって、それでプロフィールを見てビックリ。なんと「RENT」のロジャー役のオリジナルキャストの人だったんです。なんかカタカナばっかりで意味わかりません?つまり僕の大好きなミュージカル「RENT」が初めてオフブロードウェイで上演された時の主役と言ってもいい役どころ、ロジャーの役をやってた人なんです。ということは、僕がいつも聞いている「RENT」のCDはこの人の声だし、日本で上演された時のポスターもこの人だし、僕が持ってる「RENT」の本にでてくるロジャーもこの人だし、僕が使っているパソコンの壁紙もこの人なんです。その人をこんな間近で見て、歌声を聞けてしまうなんて、この感動わかります?わかるかなー?わかんねーだろーなー。そんな感じで一人で興奮して、感動してしまいました。

   そしてストーリーの方はもろ「ロミオとジュリエット」です。結ばれてはいけないはずの敵同士が恋に落ちてしまうという純愛ストーリー。国同士なので、政治的な側面もあるので、二人の恋の未来はお先真っ暗。もう切ない悲劇の結末が待っていることは必定。もう泣かせてくれます。だけど全体的にはそんなに暗い雰囲気はありません。王女が登場するところはファンションショーみたいな演出で、衣装も華やかだし、コミカルなところも結構あります。また歌のほうも一曲一曲聞きごたえがあって、役者も歌がうまいんだ、これが。作曲もエルトン・ジョンだから、それなりにいい曲が揃ってるし、もう言うことなし。

   そして極めつけはほんとにラストのラスト。僕の一番弱い所をうまーく突いてきやがった。結末をバラしてしまうと、結局アイーダとラダメスは死刑になってしまう。あれ?なんかディズニーっぽい終わりじゃないなと思ったら、どんでん返しが用意されてました。時は現代に流れて、二人が生き埋めにされた棺みたいなものが博物館に展示されている。その前で、現代に生まれ変わった二人が、再び出会うと言う心憎いエピソードで幕を閉じるのだ。うーん、にくいね。何をかくそう、僕はこういう話に弱い。この「生まれ変わって、結ばれる」というやつ。一番弱い所を突かれたもんだから、最後涙出っ放しで、もうしばらくAIDAの世界にはまってしまいました。物語の最初の博物館のシーンにはこんな伏線がはられていたのかと感心しましたね。

   歌もダンスもよ、ストーリーもよい、演出もよい、キャストもよいとひさしぶりに僕的にヒットのミュージカルでした。もちろん次の日、さっそくCDを買ってしまいました。早く劇団四季がやってくれないかなぁ。



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