クラス・アクト


あらすじ

   1988年2月のブロードウェイ、シェーバード劇場。ミュージカル「コーラスライン」の上演が行われた劇場で、「コーラスライン」の曲を作詞したエド・クリーバンの追悼式が行われようとしていた。しかし、参列した友人達は彼の悪口ばかりを言い出す。親友で医者のソフィーは本当のエドの姿を分かってもらおうと、彼の人生を語り出す。

   精神病院に入院していた大学生のエドはピアノで作曲をすることによって、癒されたことから、ソングライターになりたいと思うようになる。レコード会社でプロデューサーとして働いていたある日ミュージカルの作詞の話が舞い込み、才能を認められる。そして「コーラスライン」というミュージカルダンサーを描いたミュージカルの作詞をして、それが大ヒットする。しかし彼は本当に自分の作った曲を舞台で上演したいと考えていたので、満足できずにいた。そんななか彼は癌におかされ、夢かなうことなくこの世を去ってしまう。彼の遺書を聞いた仲間達は、彼の人生を想い、全員が真実の彼を理解していた。。



感想

   2週間前に、STOMPを観に行って、再びミュージカル魂に火がついてしまいました。というわけで、今回はブロードウェイミュージカル「クラス・アクト」でございます。あまり有名なミュージカルではないので、どんな話か全く知りませんでした。どんな話かというと、ミュージカル「コーラスライン」の作詞をしたエド・クリーバンを主役にした実在の物語を、ミュージカルにしたものなのです。来日公演ということで、英語での上演でしたが、もちろん字幕付きなので、ストーリーはよくわかりました。やはりミュージカルは原語で観るのが一番ですよね。

   作品自体は一人の人間の人生を綴ったものなんですが、特に感動する場面があるわけでもないし、楽曲の一つ一つが名曲というわけでもない。逆に特に意味のあるセリフがある歌詞というわけでもなく、どうでもいいような歌が続いて、あれあれ?と思っていたんですが、一番最後にちょっとした秘密が明かされ、そこで僕は号泣してしまいました。途中はちょっと退屈をしてしまったくらいだったのに。おそらく二回、三回観ると、もっともっと興味深く観れるものだと思いますね。それはエド・クリーバンという人が、本当は舞台で自分が作詞作曲した楽曲を上演したいという思いを抱きながら、結局自分の作曲した曲は一度も上演されることなくこの世を去ってしまったということから、その彼が実際に作曲して、日の目を見なかった曲をまとめて、それを一つのミュージカルに仕上げた作品がこの「クラス・アクト」だからだ。彼が死んでしまった後の追悼公演で、披露した彼の手紙のなかに、それぞれの友人のために作った曲が贈られるという憎い終わり方をするもんだから、涙を誘うんです。一つ一つの曲は正直言ってそれほどいい曲じゃないんですよ、ほんとに。だけど、その曲が全部実際にエド・クリーバンが作った曲であることが最後に明かすんだから、ほんとに憎い。泣いちゃいます。

   ブロードウェイで実際に演じている人達が来日しているわけですから、キャストの人達はやはりさすがですね。安心して見られます。日本人がやってるミュージカルなんかは、アイドルとかがでてると、ほんとにお前でだいじょぶか?なんて心配して観てしまうんで、だめですよね。やはりブロードウェイです。セットとか特に派手なものでもないし、ストーリーも特にいいわけでもない。そんなミュージカルがトニー賞を取ってしまうのは、やはり一人のミュージカル作家のかなえられなかった思いを実現させたいというこのミュージカルを作った人達の思いがつまっているからなんでしょう。不思議と涙がでてしまう。そんなミュージカルです



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