フットルース


あらすじ

   シカゴに住む18歳のレンは毎夜ディスコに通い、楽しい夜を過ごしていたが、ある日父親が失踪し、母親と共に、誰も聞いたことのないような田舎町ボーモントに引っ越すことになる。その街は牧師のムーアによって仕切られた、とんでもなく規律に厳しい街で、ダンスをすることすら法律で禁止されていた。

   都会育ちのレンはそんな街に我慢できなくなっていった。そんな時牧師の娘エリエルと恋に落ちる。エリエルも自分の父親のやり方に疑問を持っていて、二人は不満がつのるばかり。そしてついにレンが立ち上がり、この街でダンスパーティを開いてボーモントの街をひっくり返そうという提案をする。町議会にダンス禁止の法律の撤廃を要求するが、あっさり否決されてしまう。しかしレンは譲らず、ムーア牧師に自分の想いをまっすぐぶつけて、説得を試みるのだった。



感想

   まず断っておくが、僕がこのミュージカルを観に行ったのは、ジャニーズファンだからでもモー娘。ファンだからでもなく、純粋にミュージカルファンだからですよ。だから周りにいるジャニーズファンとモー娘。ふぁんがちょっと邪魔だったりもしたが、ただそれほどキャーキャー言うわけじゃなかったので、まぁよかったです。さて、それでこのミュージカルなんですが、可もなく不可もなくと言った所でしょうか。それほど感動するわけでもないし、かといってぼろくそにつまらないわけでもない。それなりにみれるミュージカルには仕上がっていました。僕的にはもうちょっと物語を深くして欲しかったかなという感じです。

   ストーリーはというと、若者が社会の抑圧に反抗して、自由を手に入れるという話なんですが、それほど抑圧を受けているような描写もないし、自由を手に入れるまでの大きな試練があるわけでもない。結局なんだか単調に物語が進み、終わってしまう。主人公がどうしてそこまでダンスがしたかったのかという動機付けみたいなものが欲しかったですね。ただやはり宗教というのは恐いと感じました。田舎とかにいくと、今でもこんな街があるんですかね?牧師さんが町の法律を変えてしまうほどの発言力を持ってるんですから。その街にすんでた若者達も普通にダンスは禁止なんていうくだらない法律を受け入れてしまっていて、だから全人類共通のルールなんてものはないわけで、結局はじめに権力を持った者がかってにルールを作り、後から生まれたものはそれが道徳なんだと信じ込んでしまう。私たちは結婚は一人としかしてはいけなくて、浮気は悪いことだと思い込んでいますが、他の国では一夫多妻制のところもあって、そこでは妻が何人もいることが当たり前になってるわけですから。法律、ルール、道徳はつまりただのフィクションに過ぎないというわけです。そういうところを深く掘り下げていけば、きっとこのミュージカルは最高の作品になっただろうに。ミュージカルなんだから、ちょっとくらい話が軽くてもいいやという考えは嫌いです。

   話をキャストに移してみましょう。主役二人はやはりネームヴァリューでしょうね。こういう初めて日本に来て、知名度の低いミュージカルはこういうスターを起用して、客を集めなきゃならないですからね。でも坂本くんのほうは思ったより歌もうまく、なかなかでした。中澤のほうはもうちょっと声が出て欲しかったかなという感じです。あと奥様ファン達はかなり喜んでいましたが、ピンクレディーの二人が共演していて、二人で歌って踊るシーンがありました。残念ながら僕はピンクレディー世代ではなかったので、特に感動もしませんでしたが、隣に座っていたマダムは二人が歌ってるところで、かなりの大拍手をしていました。村井国夫さんはさすがの存在感。彼は安心して見れますよね。個人的にうれしかったのは浦島りんと渡辺正の二人。ほとんどの人は「だれやねん」と思っていたかもしれませんが、実はこの二人は僕の大好きなミュージカル「RENT」に出演していた二人なのです。浦島りんはファンク・ザ・ピーナッツの人で、「RENT」ではモーリーンを演じていて、渡辺さんは初代ロジャー(宇都宮隆とのダブルキャスト)でした。そこだけは一人で喜んでしまいました。ジャニーズJrの秋山くんはなにげに舞台慣れしていて、坂本くんのちょっとしたミスにアドリブで返していたりして、ちょっと見直しました。

   笑うところが結構あって、退屈はしないで観ることはできます。ただちょっと感動がもっとあってもいいかなというミュージカルでした。余談ですが、客席にはモー娘つながりで石川梨花が。どういうつながりかわかりませんが、岸谷五郎が来ていました。更に余談ですが、かつて放送されていたドラマ「スクールウォーズ」の主題歌がまさかこのミュージカルの曲だったとは驚きました。あの曲を歌い出した時にはちょっと笑いそうになってしまいました。ちょっとイソップを思い出してしまったりして。すいません。余談でした。



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