Kiss Me,Kate


あらすじ

   じゃじゃ馬ならし」の地方公演の劇団の俳優兼プロデューサー、フレッド・グラハムは自己中心的な性格で、一年前に妻であるリリー・ヴァネッシと離婚してしまう。しかし今回の「じゃじゃ馬ならし」で二人は恋人同士を演じることになってしまう。二人とも実はまだ愛し合っているのだが、互いに意地を張り合っている。脇役のロイスは相手役のビルに好意を寄せているが、ビルは下手な賭けに手を出し、ギャングに追いかけられるはめになる。一方、フレッドはロイスにもちょっかいを出し、彼女に花を贈る。それが手違いで前妻リリーの元に届いてしまいフレッドは慌てる。しかしリリーは元夫が自分のことをまだ思っていてくれたことに喜ぶが、「じゃじゃ馬ならし」の公演本番中に、その花がロイス宛てであることに気づき、二人がキスをするシーンで、ビンタをしてしまい、話がめちゃめちゃになってしまい、更に舞台を降りると言って、出ていこうとする。そこへ先ほどのギャング達がやってくる。ビルは借用書をフレッドの名義にしているため、フレッドはギャングに詰め寄られるが、何も知らないフレッドは慌てる。そんな中、今にも舞台を降りようとするリリーを引き止めたいフレッドは、リリーが降板しては金が返せないといい、ギャングに彼女を見張らせる。しかしそれもむなしく、結局リリーは舞台を降りてしまう。主演女優リリーがいないまま、舞台はクライマックスを迎えようとしているが、果たして舞台は成功するのか。



感想

   これはスマッシュヒット。実はあまり期待してませんでした。「Annie Get Your Gun」と同じような感じかなと。だって両方とも女性の名前がタイトルに入ってるし、命令形のタイトルだし。でもこっちはとっても楽しいミュージカルでした。

   まず何といってもセットが豪華。かなり巨大なセットなんだけど、そのセットがいくつもあって、セット展開もスムーズ。これには驚かされました。

   それから脚本が見事。この脚本があるからこそ、この作品が人気があるようなものではないでしょうか。日本で言うと、三谷幸喜の芝居のような雰囲気です。ちょっとしたことで既成のものが台無しになって、にっちもさっちもいかなくなっちゃうのに、最後にはうまーくまとまっちゃうという三谷節。この作品ではシェイクスピアの「じゃじゃ馬ならし」という既成のものがあって、それが役者同士(元夫婦)のけんかによって、全然違う話になってしまう。こういう話って、見せ方を上手にすると、本当におもしろくなりますね。借金取りのギャング二人もうまくからませて、コメディとしてはかなり質の高いものになってるんではないでしょうか。ただ一つ残念だったのは、「じゃじゃ馬ならし」を前もって読んどけば、もっと楽しかっただろうなと思いました。英語学科のくせに読んでなくてすいません。

   それから主役のFred役の人は歌もうまかったし、とても芸達者の人でした。去年のトニー賞の主演男優賞をもらったということですが、それもうなずけます。全体的なバランスが整ったミュージカルで、周りの客はかなり笑ってました。僕の英語力でも結構笑えましたよ。ちょとおすすめです。



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