スクルージ


あらすじ

   クリスマスイブの夜、金にしか興味のない意地悪金貸しのスクルージの前に、7年前に死んだ相棒マーレイが現れる。重い鎖を引きずったマーレイは自分のようになりたくなかったら、精一杯この世で生きることだと告げる。そして今夜3人の精霊がスクルージのもとを訪れることを予告し去っていった。

   一人目の「過去の精霊」は幼い頃に死んだ姉や、若い頃にお世話になった親方や仲間達、そして恋人イザベルの姿を見せ、過去は取り戻せないと語り去っていった。二人目の「現在の精霊」はスクルージの事務をしているボブの家に連れて行く。ボブは病弱の息子ティム坊やを抱えていたが、幸せなクリスマスを過ごしていた。そしてスクルージの甥ハリーはスクルージおじさんが好きだ、と彼を称えて乾杯をしていた。スクルージはそんな彼らをみて、楽しい気分になった。3人目の「未来の精霊」はボブが悲しそうに十字架に話し掛けているところへ連れてきた。ボブが話かけていたのは、ティム坊やの墓だった。そして精霊が指したもう一つの墓はスクルージのものだった。自分の死を喜ぶ村人達を見て、スクルージは生まれ変わることを決意した。

   クリスマスの朝、サンタの格好をしたスクルージは村人の借金を帳消しにし、子供たちに玩具を与え、ティム坊やによい医者を探す約束をした。そして彼は甥のハリーの待つクリスマスパーティへ向かったのだった





感想

   このクリスマスのお話を私はなんとクリスマスイブの夜に観に行くという小粋なことをやってみた。イブということもあり、アンコールで「聖しこの夜」を歌ってくれ、市村さんの「聞く所によると、外は雪だそうです。うそです」というジョークも飛び出した。たぶん観客の半分は信じてた。ディケンズが原作ということで小難しいかな?と思っていたが、そんなことはなく、どちらかというと子供向けという印象を受けた。ただ、市村正親さんの芸達者ぶりはさすがだった。単なる輸入物のミュージカルを演じるという感じではなく、スクルージという役を自分のものとしていた。

   内容は単純なストーリーだが、ティム坊やのエピソードは結構泣ける。人間は誰しも間違いをおかすものだが、大切なのはその間違いに気づいた時に、誠意を持って謝ったり、間違いを正すということだ。そのことを教えてくれた。そしてスクルージのように精一杯生きていかなければならないと感じた。

   この作品は非常にわかりやすく、大人から子供まで十分飽きずに、楽しめる作品である。ユーモアも所々にちりばめられていておもしろい。スクルージのらくだのももひき姿はかなり笑えた。クリスマスに観るなら尚よいでしょう。



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